綺麗な風景とは
田園風景とか、あるいは農村の風景ってありますよね。
作品の演出にしろ、実際に人と旅行するときにしろ、あれを素敵な風景だと言うのはよくあることと思います。
その景色だけでなく、都会のように汚れていない澄んだ空気を全身で浴びながら、五感全体を通して心が落ち着いていく感覚を味わったことのある方は多いのではないでしょうか?
僕は田舎に行くと、怖くなります。
田舎の、自分の世界の外の人の生活というのを、都会のみなさんは見たことがありますか。あるいは、いわゆる都市に住んでいない人たちは、自分が今どんな環境に住んでいて、ほかの世界にどんな人達がどのように生きているのかを知っていますか。
田舎で生きている人たちは、本当に外の世界を知りません。それは決して悪いことではなく、非常に賢い判断だと思います。なぜなら、死ぬまで幸福でいられるだけの知識と能力は十分に備えている(という自認がある)からです。これは都会の人にも同じことが言えます。
ただ、都会の人達と一つだけ違うのは、田舎の人は情報にアクセスする手段が本当にないのだということです。
これは空間的制約ではなく、文化的制約です。
情報こそが、田舎にとって都会を外の世界たらしめている根本的な原因だと僕は思います。そして、この差異が存在している以上、我々は宇宙人なのです。
高速道路に乗ってみてください。地下鉄行き交う大都市には2時間程度でアクセスできるのに、文化が不思議と断絶されている世界が見えると思います。
その場所にもし生まれていたら、もし自分に特別な才能も特別な環境もなく、例外になり得ないとしたら、何を感じて生き、どのように見られるのでしょうか。